2015/7/8
チ・ウニ(山口県)
皆さんは「韓国の夏」というと、どのようなイメージが浮かびますか?
韓国も日本のように春夏秋冬、つまり、四季がはっきりしている所ということで、日本の夏の生活と大体似ています。
高温多湿な日や、セミの鳴き声が連日続く季節になると、夏休みや休暇を利用して、涼しい海や山に旅立つ人が激増しますし、また、暑い夏を健康に過ごすために、夏バテにいい栄養食や冷たい料理やデザートを食べながら、暑い夏を乗り切ろうとします。
また、真夏になると気温が30度を超える日が連日続きますので、熱帯夜や熱中症、また、日焼け対策や蚊の駆除などに力を入れています。
蒸し暑い夏になると、冷たい食べ物やデザートが食べたくなります。韓国では韓国人に最もなじみ深い夏のデザートとして「パッピンス」が挙げられます。夏になると多くのカフェやデザートの店では、お店ごとに代表的で斬新なパッピンスを楽しむことができます。
パッピンスは日本のかき氷に当たるデザートのことで、パッピンスの「パッ」は小豆を、「ピンス」は氷菓を意味していて、言葉通り、パッピンスは小豆と氷をベースにして、いろんな具をふんだんにのせた韓国の代表的な夏のデザートのことを言います。
最近では、旬の季節のフルーツが入ったフルーツパッピンス、いろんな種類のアイスクリームをのせたアイスクリームパッピンスなど、パッピンスにのせる具として、チョコレート、クッキー、ケーキ、ナッツ、お餅、穀物の粉など、その種類は数えきれないほどです。まるでパフェのように、毎年新しいパッピンスが発売されることから、毎年夏になると、多様で目新しいパッピンスを楽しむことができます。
私は個人的に、日本で「冷やし中華始めました」というのぼり旗を見て初夏の訪れを感じますが、韓国では夏になると、名前を聞くだけで涼しくなる「冷麺」を食べます。
冷麺は大きく「ムル冷麺(ピョンヤン冷麺)」と、「ビビン冷麺(ハンフン冷麺)」に分けられます。
ムル冷麺は、冷たいトンチミ(大根の水キムチ)汁や肉汁に、そば粉の澱粉を混ぜて作った麺を入れて食べる料理です。麺の上には肉、きゅうり、ゆで卵などの具をのせて食べます。ここにお酢と辛子を添えて、暑さに疲れて失った食欲を取り戻そうとします。
ビビン冷麺は、ジャガイモやサツマイモの澱粉を多く入れて作った麺に、コチュジャンをベースとした甘酸っぱい薬味を入れて混ぜて食べます。
冷麺は、主に夏に食べる料理として知られていますが、韓国ではサムギョプサルなど、肉を食べてから必ず冷麺を食べる人がいるなど、冷麺は夏だけでなく一年中韓国人に愛されている料理だと言えます。
ムル冷麺 |
ビビン冷麺 |
日本では「土用丑の日」など蒸し暑い真夏になると、栄養が豊富なウナギを食べて暑さに疲れた心身を癒します。韓国ではこの時期に「サムゲタン」という栄養食を食べます。
サムゲタンは日本人が最も好きな韓国料理の一つであり、最近では日本でもよく食べられるようになった韓国を代表するスタミナ料理です。
サムゲタンは鶏の内臓を取り出し、その中に体に良い高麗人参、ナツメ、ニンニク、もち米、ごぼうなどを入れて煮込む料理です。スープは鶏と米を入れてじっくり煮込んで、お粥にして食べます。
韓国では旧暦6月から7月の間の20日間を、1年中で最も暑い期間ということで「三伏(サンボク)」と言って、この時期に暑さに勝つためにサムゲタンを食べます。特に、1年で最も暑い日である「末伏(マルボク)」になると、サムゲタン消費量はピークに達します。
夏になると多くの人々は楽しい夏の思い出を作るために、海や山などに旅立ちます。
韓国の場合、韓国の代表的な夏の休養地として「済州島(チェジュド)」、「釜山(プサン)」、「麗水(ヨス)」などが挙げられますが、このように有名な海水浴場があるところは、この時期になると大勢の人でごった返します。
この中で最も有名な場所は、韓国最大の海水浴場を誇る釜山の海雲台だと言えますが、釜山は韓国の最南端に位置していて、気候が温暖で海開きが最も早いところです。そして、宿泊施設や設備が整っていて、夏だけでなく一年中旅行者の足が絶えないところです。
また、いろんなフェスティバルが楽しめるところでもあります。特に、秋に「海雲台花火大会」が開催されると、釜山と49.5キロしか離れていない日本の対馬でも海雲台花火が楽しめるそうです。
現代は、扇風機やエアコンなどで気温を調節しますが、エアコンと扇風機がなかった昔の時代はどうやって蒸し暑い夏を乗り越えたのでしょうか。
韓国の伝統家屋(韓屋(ハノク))では家屋の真ん中に「テチョンマル(床)」を設置し、高温多湿な夏の温度調節装置兼廊下として利用しました。
テチョンマルの前後の格子戸を開け放すと、前後が解放された通風構造になるため快適な夏を過ごすことができましたし、冬には格子戸を閉じ切り、家の中に寒気が入ってくるのを防ぎました。
このような夏の伝統的な温度調節設備は、湿気が多くて蒸し暑い南部地域を中心に発達しました。また、床と地面との間隔は土地の湿気を遮断する役割をするため、南部地域の家屋は北部地域の家屋と比べると、床が高くなっているのがわかります。