2016/6/10
パク・ヘリ(福岡県)
ヨロブン、アンニョンハセヨ!
みなさん、こんにちは。
福岡県の国際交流員のパク・ヘリと申します。韓国の京畿道出身で、福岡県の国際交流員としては2年目になります。この度、「国際交流員コラム」を通して初めて皆様にお会いすることになりました。これからよろしくお願いします。
昨年度は、韓国の四季について皆さんに御紹介させていただきましたが、今年度のテーマは韓国の伝統儀礼である「冠婚喪祭」について御紹介させていただきたいと思います。
「冠」は成人式、「婚」は結婚式、「喪」は葬式、「祭」は祖先の霊をまつる儀式を意味します。日本では一般的に「冠婚葬祭」と表記されていますが、韓国や中国では「冠婚喪祭」と表記するのが一般的です。人生の様々な通過儀礼の中で、この四つが挙げられるということは、それくらいこれらの儀式には重要な意味があるということなのでしょう。私は、韓国の「冠婚喪祭」の中で「冠」について皆さんにちょっと御紹介させていただきたいと思います。
韓国には、「成年礼」というものが高麗時代以前から存在していました。朝鮮時代には、成年になる儀式が結婚式より重要とされていました。富裕な両班(ヤンバン:高麗、朝鮮時代の官僚・支配階級)家では旧暦の正月中に吉日を定め、その日に成年礼をあげました。
カッ(笠子帽)(左)を被っている姿とビニョ(かんざし)(右)
Wikipedia:カッ 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
最終更新 2016年2月15日 (月) 07:58、URL: http://ja.wikipedia.org「出典:Wikipedia」
Wikipedia:Binyeo 『フリー百科事典 ウィキペディア英語版』
最終更新 2015年9月30日8:26、URL: https://en.wikipedia.org/「出典:Wikipedia」
女は15歳で、男は15歳から20歳の間で適当な年に成年になったことを認められました。成年になったことが認められると男はカッ(冠に当たる帽子)を、女は、ビニョ(かんざし)をさしました。特に、男性は成年礼をあげると正式な名前を持つことができ、結婚したり、官職を務めることが出来るようになります。成年礼をあげた人に対しては、両親も敬語を使い、立派な成人として接するようになります。
近代化により、カッを被る風習もなくなり、成年礼という儀式は消えていきましたが、「成年の日」としてその形跡はまだ残っています。
日本は1月第二月曜日が成人の日ですよね。韓国では、ちょっと違う呼び方をされています。「成年の日」は1973年に国家公認の記念日として指定され、1985年から5月の第三月曜日になりました。
韓国では、成年の日に3つのプレゼントを贈る習慣があります。薔薇、香水、キスがその3つでありますが、これらのプレゼントにはそれぞれ意味があります。
成年の日の代表的なプレゼントである香水
薔薇は、「情熱」、「美」という花言葉を持っています。これからの人生を薔薇の花言葉のように情熱的に生きなさいという意味と人生で一番美しい時期を賛美するという意味を込めて薔薇をプレゼントします。
香水には、一般的に「私のことをいつでも覚えていてほしい」との意味が込められているといいますね。香りは人の記憶によく残るものであって、成年を迎えた人に「記憶に残る自分の香りを持ってほしい」との意味でプレゼントするんだそうです。
成年の日のキスには「永遠の恋」という意味があります。成人になるということは、結婚も出来るようになるとのことですね。付き合っている人に永遠を誓い合える恋愛をしようとの意味でキスを交わす習慣があるらしいです。もらえる相手が限定されるちょっと特殊なものなので薔薇と香水が一般的ですね。薔薇と香水は周囲の人から成年を迎えた人に贈るか、または迎えた人同士で交換します。
韓国で民法上、未成年から成人になる年齢は満19歳です。成年の日は、元々は満20歳になる年の5月だったのですが、韓国の法律が変わり、法律上の成年を迎える年齢が満19歳になったため、2013年からは満19歳になる年の5月になりました。
韓国では19歳になる年の初日からお酒、タバコ、宝くじが買えるようになります。私は、日本の大学に留学していた時に、同じサークルの新入生からお酒を買えないと聞いて、日本は20歳から飲酒ができるということを知り、驚いたことがあります。国際平均よりもちょっと遅いほうですね。
また、韓国では19歳になると選挙権が与えられます。日本は今年の6月から18歳以上から投票できるようになりますね。韓国でも選挙年齢を下げることについて色んな議論がされていますが、まだまだ先のようです。
結婚と婚約は両親の同意を得たら18歳から出来ます。18歳に結婚すると年齢的には未成年であっても保護者から独立し、夫婦二人で生活をしていかなければなりませんので、成人としてみなされます。つまり、両親の同意がなくても携帯電話の契約、賃貸借契約などが出来るようになるということですね。
また、18歳からは運転免許が取得できるようになり、韓国では、受験が終わったあとの冬休みに自動車学校に通う学生もいます。この年齢制限は、日本と一緒で似ていますね。
以上、冠婚喪祭の冠に当たる韓国の「成年の日」と成人年齢について御紹介させていただきました。日本とは似ているようで、また違う面白い面が分かっていただけたら嬉しいです。
また次回お会いしましょう。
ト マンナヨ!