2016/11/30
ペ・ユンジュ(山口県)
みなさん、はじめまして。山口県の国際交流員ペ・ユンジュと申します。
今年の4月から国際交流員として活動を始めましたので、初めて皆様にお会いすることになります。よろしくお願いします。
今年の国際交流員のコラムの主題は韓国の伝統儀礼である「冠婚喪祭」です。
その中で私は「喪(葬式)」について皆さんに御紹介させていただきたいと思います。
以前は韓国では土葬が基本でした。墓地は普通、山の中にあります。それぞれの家が先祖代々遺体を納める「先山(ソンサン)」という山を持ち、世代が下がるにつれ段々下の方に埋めていきます。
お墓参りにはお墓にお酒のほか、なつめ、栗、干し柿など、主に木の実を供えます。これは、「子孫繁栄」といった意味合いが込められています。
韓国の伝統的なお葬式の手続きはかなり複雑です。各手続きは必ずしなければならない手続きと場合によって省略できる手続きで区分されています。また、順次進められるよりは並列的に行われる手続きも多いです。
儒教式お葬式の手続きは亡くなった方の位牌を祭るか祭らないかによってかなりの差があります。位牌を祭った場合には、計19個の手続が行われます。位牌を祭らない場合、位牌と関連のある手続きが省略されるなど、11~12個程度で済みます。
先に記載した通り、韓国では土葬が基本でした。最近衛生面での問題や、埋葬の土地が不足しているという問題もあり、火葬が増えています。
韓国の葬儀文化振興院によると、2015年の火葬率は85.5%に達するそうです。
しかし、現代の韓国社会でのお葬式の方法は制度的に変化しています。埋葬の土地が不足していることや、お墓の管理が困難になるなどの問題が生じています。子孫たちは自分の故郷を離れて都市などで生活しているため、墓地を十分に管理することができなくなりました。そのため、門中会議(父方の親族で行う話し合い)の決定を通じて既存の埋蔵された墓場を改装して火葬し、納骨堂を設置した後に遺骨を安置しています。
保健福祉部(保健•薬事•社会福祉などに関する事務を管掌する中央行政機関の一つ)の資料では、1990年代は火葬の割合は20%程度でした。2005年に土葬の件数を上回って以降、2009年には約3分の2が、そして2015年には85.5%とほとんどが火葬となっており、土葬はごくわずかとなっています。
また、遺体の搬送手段も変化を見せています。韓国では車も少なかった時代、喪輿(サンヨ、遺体を運ぶ道具)と呼ばれるものを使って遺体を墓地まで運んでいました。しかし、最近では日本と同じように霊柩車を使用するようになりました。
喪輿で遺体を運ぶ姿 | 霊柩車 |
「出典:Wikipedia」
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Korean_funeral_image.jpg?uselang=ko https://commons.wikimedia.org/wiki/File:South_Korea_funeral_motorcade.jpg?uselang=ko
<最近のお葬式の手続き>
最近の韓国のお葬式は大半の場合、故人の死後3日間にわたって「3日葬(サミルチャン)」が行なわれます。3日3晩、喪主や故人の家族は葬儀場で弔問客を迎え、食事をふるまいます。
1日目:死亡後の当日であり、收屍(スシ、死体をおさめて頭·手足を整えること)を行います。
2日目:死体を湯水でぬぐい清めた後、死者に寿衣(スイ、死装束)を着せて掛け布で覆い、遺体を棺に入れます。
3日目:発引(バルイン、棺を墓地へ送り出すこと)をします。
韓国では、遺族と少しだけの縁があってもほとんど出席して慰めます。故人や遺族と親しい弔問客は一緒に夜を明かしたりもします。
<弔問客の服装>
昔、韓国の平常服は韓服(ハンボク)だったので、白い服を着て弔問に行くことが礼儀でしたが、現代に至っては洋服を着るようになり、弔問客の服装も変貌するようになりました。
現代の弔問客の服装は基本的に華やかな色の衣服やアクセサリーは避けて、地味な色目や無彩色系の端正な服を着ます。