2017/8/31
パク・ヘリ(福岡県)
ヨロブン、アンニョンハセヨ。オレンマニエヨ(お久しぶりです)。福岡県国際交流員の朴恵梨です。今回は、私の地元であり、韓国の首都である「ソウル特別市」についてご紹介したいと思います。
日本の東京は「東の京」という意味ですよね。「ソウル」は韓国の固有語(漢字語ではない古来の韓国語)で国の首都という意味です。「韓国のソウルはソウルである」とも言えるのです。しかし、固有名詞としての「ソウル」が定着していくにつれ、一般名詞としての「ソウル」は日常会話において使われなくなりました。
ソウルは昔から韓国半島の中心に位置し、漢江(ハンガン)の近くに豊な土地があったため、戦略的に重要な地域でした。三国時代には、百済、高句麗、新羅の順で、三国ともソウル地域を占領したときに全盛期を迎えました。高麗王朝においては、しばらく「開京(ケギョン)」(現在の北朝鮮の開城(ケソン)特級市)を首都にしていましたが、朝鮮王朝からまた漢陽(ハニャン)と名づけられ、ソウルはそれから500年間首都としての役割を果たしてきました。ソウルは、このように近代になって盛んになった地域ではなく、長い歴史を持っている伝統ある地域なのです。
ソウル特別市のスローガン 「人と人との間にソウルがある」という意味 |
光化門(グァンファムン) 景福宮の南門であり、宮城の正門 |
韓国旅行と聞いて皆さんが最初に思い浮かべるエリアは恐らく明洞でしょう。明洞は、ソウル市中区に位置する行政区域の名前であり、韓国最大の繁華街、ソウルの中心と呼ばれているところです。外国人観光客特別区(外国人観光客を誘致する観光拠点の育成を目的につくられたもので、法律と政策上の特典が与えられる。現在、全国14市道に31ヶ所が指定されている)であって、街中を歩いていると韓国人も日本語や中国語で声をかけられることがよくあります。海外からの観光客の増加に対応して、外国語が話せるスタッフや外国語の標識に出会うようになりました。
明洞は、韓国で一番地価が高いエリアとしても有名です。グローバル不動産サービス会社であるクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド (Cushman & Wakefield)のレポートによると、明洞は世界で8番目に賃貸料が高い商圏だそうです。
買い物だけではなく、韓国最初のゴシック様式の教会である明洞聖堂、ソウル文化の中心地である明洞芸術劇場、韓国の中央銀行である韓国銀行等、文化と金融分野の主要な建物が集まっているところでもあります。
明洞の様子 | 明洞聖堂 |
朝鮮時代には、ソウルは城郭に取り囲まれていて、東西南北の四方に出入りできる門がありました。そのうち東の「興仁之門(フンインジムン)」の通称が、皆さんご存じの「東大門」の別称であります。四大門の中で唯一、昔の形が残された門で、韓国指定宝物第1号です。この東大門があるエリアも「東大門」と呼ばれています。
東大門は、問屋とファッションビルが共存するファッションの街としても有名です。朝まで営業している店が多く、24時間買い物ができる活気あふれるところです。
そんな東大門に新ランドマークとして、2014年3月に「東大門デザインプラザ」が建てられました。3次元の立体設計技法を駆使して設計された非線形の建築デザインが特徴で、イラク出身の建築家ザハ・ハディッド氏による建築です。夜にはライトアップされ、24時間買い物ができる眠らない街を訪れた観光客の目を楽しませてくれています。
東大門 By Mark Froelich [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons |
東大門デザインプラザ |
仁寺洞文化街は、韓国文化を知るために海外からの観光客がよく訪れるエリアです。実際、ソウルの人より、韓国の旅行客や外国人が多い感じがします。カフェが密集している普通の韓国の繁華街とは違って、伝統茶を出す喫茶店や韓国伝統料理店、ギャラリーなどが並んでいてちょっと変わった雰囲気が味わえます。
すべてのお店の看板がハングルになっているのが特徴で、英語表記のブランドもこの文化街では規制によってハングルで表記しなければなりません。ソウル市内で一番韓国らしい雰囲気を楽しめるエリアだと思います。また、2013年、東亜日報と建築専門雑誌「SPACE」で調査した「韓国最高の現代建築ランキング」で5位に選ばれた「サムジキル」がランドマークとして有名です。サムジキルの「キル」は「小道」という意味で、4階建ての建物がらせん状に繋がっており、文字通り小道を歩いている感覚で別の階に行けちゃいます。
仁寺洞 | サムジキル |
韓国には「人はソウルへ、馬は済州島へ」という昔からのことわざがあります。「人が見聞を広めるならソウルで、馬を育てるなら自然豊かな本場の済州で」という意味なのですが、最近は人も済州島のほうに行っているようです。2016年、28年ぶりにソウルで人口1000万人線を割ったのとは対照的に、日韓海峡沿岸県市道のひとつである済州特別自治道では徐々に人口が増えています。自然要素ではなく外からの移住による増加で、済州への移住は元々50~60代の定年引退層がリードしていましたが、今は若年層にまで広がっています。最近は、歌手の李孝利(イヒョリ)氏をはじめ、多くの芸能人も済州に移住し、SNSで済州での生活を満喫している姿を見せています。
韓国では今「済州1ヶ月暮らし」というものが流行っています。私の周りでも済州に行って何ヶ月間暮らすという知人や友達の話を聞きます。忙しい都会での生活に疲れた人たちが済州で癒しを求めているのでしょう。
済州ゲストハウスでの朝 | 済州の海岸道路 |