2018/6/25
パク・ヘリ(福岡県)
ヨロブン、アンニョンハセヨ!オレンマニエヨ(お久しぶりです)。福岡県国際交流員の朴恵梨(パク・ヘリ)です。
早速ですが、私は日本にきて宴席における最初の一杯はビールという暗黙のルールがあることに驚きました。「とりあえずビール」という言い回しがあるほど、ビールは数多い酒類の中でも最も好まれ、良く飲まれています。
今回は、私自身のお気に入りでもあるビールについて、福岡県でおいしいビールが飲めるところを韓国人の視点を織り交ぜながらご紹介したいと思います。
最近、韓国のビール市場では、輸入ビールがブームを起こしています。韓国のコンビニチェーン「CU(シーユー)」によると、輸入ビールの売り上げは2017年から韓国ビールの売り上げを上回り、今年に入って全体の売り上げの6割以上を占めています。
その背景には、最近流行っている「ホンスル(一人酒)」があるのではないかとの分析が出ています。昨年日本でも放送された韓国ドラマ「ひとり酒男女」でも、毎回オープニングで主人公が一人でお酒を飲むシーンが出てきますね。こうしてドラマの題材に用いられるほど、自宅でゆったりとお酒を嗜むこの「ホンスル」は若者を中心に広まっています。
さて、韓国の輸入ビール市場では、どの国のビールが一番売れていると思いますか?ハイネケンのオランダ?バドワイザーのアメリカ?ヒューガルデンのベルギー?なんと正解は「日本」なのです!日本のビール輸出の半数以上が韓国向けであることをご存知ですか?韓国の輸入ビール市場の約25%を日本ビールが占めており、輸入ビールを飲んでいる韓国人の4人に1人は日本のビールを飲んでいることになります。
宴会の最初の一杯はビール
韓国のコンビニのビールコーナー
韓国に輸入されているアサヒビールの9割以上を生産しているアサヒビール博多工場。大正10年創業のこの工場は、日本におけるアサヒビール工場の中で2番目に歴史が長いそうです。ここでは日本語以外に英語・中国語・韓国語での見学プログラムが運営されており、年間83,000人の外国人が訪れています。その9割が韓国人で、全国8工場のうちこの工場だけが韓国語ガイドを実施しています。
見学プログラムではビールの製造工程について詳しい説明を聞くことができ、またビールの原料となる麦芽とホップを食べたり、においをかいでみたりできる体験コーナーも設けられています。見学の後にはビール好きにとってお楽しみの出来たてビール試飲の時間があります。車を運転する方や子どもさんにはアサヒのソフトドリンクが試飲できますので、家族での訪問でも楽しめますね。JR竹下駅から歩いて3分というアクセスのよさも多くの外国人観光客が立ち寄っている理由であると思います。
アサヒビール博多工場
見学が終わった後の試飲
昨年7月、青瓦台で文大統領が就任して初めての企業関係者との懇談会が、「ビアホール」形式で開かれて話題となりました。この懇談会で乾杯の飲み物として選ばれたのは「クラフトビール」でした。韓国では最近クラフトビールへの関心がどんどん高まっています。
日本はアジアにおいて最もクラフトビールが発達している国として知られています。地方の特色を活かしたマイクロブルワリーで作られるクラフトビールのことを日本では「地ビール」と呼んでいます。福岡県にも5つのブルワリーがありますが、その一つ、北九州市にある「門司港地ビール工房」は大正レトロ風の町並みで有名な門司港レトロ地区にあり、多くの観光客が訪れています。
ここでは、小麦麦芽独特のフルーティーな香りが楽しめるヴァイツェン、豊かな香りが特徴のペールエール、そして私が一番好きなほんのり苦いラガータイプの門司港驛ビールの3種類の地ビールが楽しめます。3階にある展望レストランで関門海峡を眺めながら飲むビールの味は格別です。できたて地ビールと並んで、ヴァイツェンやペールエールで煮込んだ特製焼きカレーも、多くの観光客を引き寄せていることに間違いないでしょう。
門司港地ビール工房
工房の地ビール
韓国ドラマには、登場人物が屋台で緑の韓国ソジュ(焼酎)を飲みながら語り合うシーンがよく出てきますよね。そのためでしょうか、韓国にいらっしゃる外国人観光客には、ドラマで見た韓国の屋台であの緑の焼酎を飲んでみたい!という方も多いのです。
福岡に遊びに来る韓国人の友人や知人に「どこに行きたい?」と聞くと、必ずリクエストされるのが「中洲の屋台」です。中洲の川沿いに何十軒もの屋台が立ち並ぶ風景は韓国人にとって珍しいものですし、外国人でも気軽に入れて現地の人と触れ合える屋台は、多くの観光客に愛されています。私の知り合いに、中洲の屋台でたまたま出会った人と付き合うようになって結婚までゴールインした人もいます。出会いのチャンスはどこに転がっているか分からないものですね。
最近、韓国のバラエティ番組「みにくいうちの子」で屋台が紹介されたことから、韓国人のお客さんがさらに増えたそうです。その番組で出演者が頼んだ「焼き明太子」と「牛タン」を注文する方が増えたらしいですね。他にも「とんこつラーメン」、「焼鳥」、「餃子」、「もつ鍋」などなど、屋台には福岡のグルメが集まっているわけですから、屋台ではしご酒を楽しむ観光客も多いそうです。
中洲の屋台
屋台の風景
以上、私のお気に入りについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。ビアガーデンのポスターが街中で見られる季節になりました。暑い夏にはキンキンに冷えたビールがほしくなりますよね。皆さんも今回ご紹介した場所で、観光客と一緒においしい料理を食べながら暑気払いをされてみてはいかがでしょうか。
それでは、次回のコラムで、トマンナヨ(また会いましょう)!