2020/1/27
イ・スンファ(山口県)
皆さん、こんにちは!
山口県の国際交流員、イ・スンファと申します。よろしくお願いします。
私の地元は慶尚南道の金海市というところです。現在、福岡から釜山の金海空港や大邱(テグ)の大邱空港への直行便があり、慶尚南道・慶尚北道に訪れることができますので、今回は私のお気に入りの慶尚道の観光地を紹介したいと思います。 韓半島は1392年に朝鮮という国家が建国される前までは国教として仏教が盛んでしたので、長い間、多くのお寺が建てられました。時代が変わり、様々な紆余曲折を経てほとんどのお寺は撤去されたり破壊されたりもしましたが、幸いなことに、美しいお寺が何箇所か残っています。
海印寺
海印寺は2007年にユネスコ世界記録遺産に登録された高麗大蔵経版を保管しています。
高麗大蔵経版は名前のとおり仏経を印刷するために作られた木版です…が、仏様の力で外部からの敵を追い払うという念願が実際の目的でした。木版は81,352枚で、文字数は5,273万字です。昔の話では、1文字掘るたびに3回額づいてからまた1文字を掘るというのを繰り返したそうです。つまり作るとき、お坊さんは1億5千万回ぐらい額づいたことになります。もちろん1人で作ったのではありませんけどね。
高麗大蔵経版には、世の中のすべての悩み事に対する答えが書いてあるそうですが、情報量が膨大で、全てを知るには一日中勉強をしても何十年もかかるという話や、そもそも量が多すぎて答えを探すことができないという話もあります。
蔵経版殿 | 蔵経版殿の内部 |
そしてこの高麗大蔵経版を保管している建物も文化遺産です。面白いところは高麗大蔵経版が世界遺産に登録される時に建物も一緒に登録されたのではなく、12年も早い1995年に先に世界遺産として登録されたということです。
この保管所の名前は蔵経版殿と言います。高麗大蔵経版は木で作られたのにも関わらず、その原型がほぼ完璧に保存されています。その理由は、蔵経版殿が科学的に設計されたからです。
まず、床は一番下に砂と石灰の粉、粘土を混ぜたものを敷いたものを土台とし、その上に炭と塩を載せて造られました。このことが保管所自体に菌の繁殖を防ぐと同時に、湿気を調節する効果をもたらしています。湿度が高い時は炭と塩が湿気を取り、乾燥した時には溜めておいた湿気を放出します。それだけではなく、前と後ろに配置された窓を利用して、外部から入ってくる空気が内部を一回りしてから外に出るように工夫され、適度な温度が維持されています。
現代になり、瓦を金属にしたり、コンクリートの保管所を建てたりしましたが、金属で作られた瓦は重くて蔵経版殿の柱に負担がかかったり、熱伝導率が高くて内部の温度を維持できませんでした。そしてコンクリートの建物に保管した結果、結露が発生して結局は最初の蔵経版殿に戻したそうです。
興味深いところは、今まで海印寺では7回の火災があったにも関わらず、この蔵経版殿は1回も火災による被害がなかったということです。本当に仏様がこのお寺を守ってくれているのかも知れませんね。
瞻星台
慶州は千年間、古代国家である新羅(シンラ)の首都であったため様々な文化財が残っていて、有名な観光地であり、もちろん修学旅行先としても定番です。日本でいうと京都に似ています。いまだに遺物などが発掘されることがあるため、開発に関する規制が厳しく、昔の姿が残っています。そして世界文化遺産に登録されている仏国寺(プルグッサ)というお寺が有名です。ちなみに基本的に慶尚道の学生たちは修学旅行で慶州に行くことはほぼありませんが、ソウルの学生たち(特に7-80年代生まれの方)は学生時代のアルバムを見れば必ずここで撮った写真があるほどです。
東宮と月池 | 東宮と月池 |
春には長い桜の道が見どころで、秋には紅葉と文化財が1枚の絵になります。夜には文化財がライトアップされ、夜だけの魅力を見せてくれます。そして特に東宮(トングン)と月池(ウォルチ)という所の夜景は個人的に韓国の文化財の中で一番きれいだと思います。
自然や文化財のほかに海に接している地域や湖を囲んで開発されたリゾート地とウォーターパーク、ほかに登山コースもありますので、自分の好みに合う旅行プランを立てる事もできます。
慶州南山の茸長寺谷三層石塔
特に山から眺める慶州は絶景で、山の様々な所に置いてある文化財に出会うのも一つの楽しみです。
私は慶州がとっても好きで、大学の時にはたまに平日の授業をサボって1人旅をしていました。そして軍に入る1週間前には1人で山を登ったこともあります。そして最近は私が大学生の時とはまた違って、若者向けのおしゃれなカフェなども増えているそうです。金海空港から出発するバスもあり、料金は1000円程度、時間は1時間ぐらいで行くことができるので、気軽に行ってみてはいかがですか?