2021/10/13
ソン・ソヨン(福岡県)
皆さんは幼い頃通っていた駄菓子屋を覚えていますか?駄菓子屋には(健康にはよくなさそうだけど)美味しいおやつや、楽しい玩具などが勢揃いで、あの頃はまるで天国のように思ったのではないでしょうか。
韓国にも日本みたいに駄菓子屋があって、小学生の私はお小遣いをもらうと、必ず放課後に駄菓子屋に寄り道していた記憶があります。韓国の駄菓子屋は、「文房具(ムンバング)(문방구)」または「文具店(ムングジョム)(문구점)」と呼ばれていて、おやつや玩具の他にも文房具、上履き、体育着、リコーダーやシロフォンなど、先生に言われた授業の持ち物を買う時もよく利用しました。
では、韓国の駄菓子屋にはどのようなおやつがあるのでしょう。代表的な駄菓子を調べてみましょう!日本の駄菓子と何が似ていて、何が違うか比べてみるのも楽しそうですね。
まず、8090世代(1980~1990年代に生まれた人たち)なら誰もが知っている駄菓子にはこういうものがあります。
上の写真は「チョンディギ(쫀디기)」という駄菓子です。歯ごたえがあって、焼いて食べたらさらに美味しくなります。種類も多様で、中にははちみつが入っているのもあります。右の写真は、「食べられるテープ(먹는 테이프)」です。まるでテープのような形をしていて、口の中に入れるとすぐ解けてしまいます。味はあまり美味しくなかったですが、面白いからよく食べていました。
この「チャカニ(차카니)」というお菓子も大人気でした。味がチートスに似ていて、安い値段でチートスが食べたい時に代わりにこれを買って食べていました。日本で言ったらうまい棒みたいなものですね。
他にはビールジョッキやペイントの形をしたキャンディーなどもあったのですが、特にペイントキャンディーは舐めたら舌がすぐ青くなるので、食べた後は青くなった舌を見せあったりしました。ビールジョッキの形のキャンディーは、上の白い部分が美味しくて、あれだけのために買って食べたりもしました。
また、真ん中に穴が開いていて、口に挟んで風を通すと口笛の音がする口笛キャンディーや、星型の小さいキャンディーも人気でした。特に、丸い形のオレンジ味のキャンディーは、ビタミン剤の味がすることから、「飲んだら元気になるよ」と言って友達とシェアして食べた記憶があります。当時は、本当にビタミン剤・薬だと思っていたので、「薬だから飲みすぎはよくない」という言葉を信じて(どこから広まった噂なのか知りませんが、当時はみんなそう思っていました。)、1日に食べる個数を決めていました。今考えると、それはただ、友達にそれ以上あげたくないから誰かが作り出した嘘なのかもしれません。それをそのまま信じてしまったあの頃は純粋で素直だったなと、童心に戻ったような気分になります。
今まで韓国の色々な駄菓子について紹介しましたが、何が一番好きだったかと言われたら今から紹介するアポロという駄菓子です。
このアポロは、細いストローにチョコ、イチゴ、バナナ、ブドウの味がするものが入っている駄菓子で、飲料会社でジュースの粉末を入れて固めたのがアポロの誕生だといいます。アポロは、ストローを齧りながら食べると中のものが全部取れずに汚くなるので、あの頃の韓国の小学生たちはみんなストローの中にアポロが残らないようにきれいに食べる方法を研究していました。そして誰が一番きれいに食べたかの勝負をしたりもしました。名前を聞いたら誰もが分かるアポロですが、この思い出のお菓子は製造単価の値上がり、食品衛生法等の改正によってそれ以上生産が難しくなり、多くの小学生を悲しませました。それから他の企業でアポロの作り方の特許を登録し、新しいアポロの販売を開始しますが、工場は中国にあり、味も食感も旧アポロとは違います。今は旧アポロを目にすることが滅多にないので、写真でも見る時はとても懐かしい気持ちになります。
一方、韓国の駄菓子屋は屋外に小さい露店を開くことが多かったのですが(今は法律上あまり見受けられません)、その露店ではトッポギや串豚カツ、焼き鳥などを売っていました。その中でも「ピカチュウトンカツ」は断然人気でした。とんかつよりはナゲットに近いですが、その形がピカチュウに似ていることからピカチュウトンカツと呼ばれていました。私は個人的に、それよりトッポギやトッコチ(餅の串揚げに甘辛いソースをかけた食べ物)が好きでした。トッポギは、前回のコラムでも紹介したことがありますが、昔は駄菓子屋の露店で紙コップに入ったトッポギを売っていました。値段は300ウォン(300円)くらいで、安かったです。
たまに、ダルゴナという、日本で言うとカルメ焼きみたいな甘い砂糖菓子の体験ができる露店もありました。ダルゴナは、コンロの上に直接おたまを乗せ、そこに砂糖と食用重曹(ベーキングソーダ)を入れて作るもので、家庭でも作れます。親世代は子供の時、家でダルゴナを作ろうとしておたまを焦がしてしまい叱られた経験が一回はあるようです。露店では、出来上がったダルゴナが固まる前に、星、ハート、自動車、ツリーなど、様々な形の枠で形を作ります。これは、爪楊枝で削るのですが、形が綺麗に取れたらもう一つダルゴナをもらえます。
今は体験できるところは少ないですが、形のない単純に丸いダルゴナは一般スーパーでも売っているので(今は日本内の数多くの韓国食品店にもあります)、韓国に行った時は、一回食べてみてはどうですか?最近はコーヒ味やきな粉味など、味付けダルゴナもあるらしいです。
今、日本にも残っている駄菓子屋のように韓国にもまだいくつかの駄菓子屋が残っているので、ダルゴナだけでなく、上で紹介したような駄菓子もまだ手に入れることができます。値段は私が小学生だった15-20年前と比べたらかなり高くなっていますが、その思い出の味が恋しくて大人になっても駄菓子を買って食べる人もいます。
どうですか、みなさん?韓国の駄菓子はどんな味がするのか気になりませんか?
機会があればぜひ食べてみてください!