本事業は、日韓海峡沿岸県市道交流知事会議(日本国:福岡県、佐賀県、長崎県、山 口県、大韓民国:釜山広域市、全羅南道、慶尚南道、済州特別自治道)において、2005年(平成17年)11月1日の「共同声明文」及び2006年(平成18年)2月16日の「実務合意書」で、「親環境農業交流事業を新規事業として、実務者会議を開催し協議する」とした合意内容を受けて、2006年度(平成18年度)から始まりました。
環境の維持保全や、より安全・安心な農産物を求める消費者のニーズに応えるため、一般栽培に比べ、化学合成農業の使用回数や化学肥料の使用量を低減した栽培方法のことで、韓国では、親環境農業、日本では、環境保全型農業と呼んでいます。
第1回目の実務者会議は、韓国の慶尚南道で開催されました。
各県市道の環境保全型農業への取組みに関する意見交換や現地視察が行われました。
日本の環境保全型農業に関する認証制度のしくみや大韓民国での親環境農産物の販 売状況などについて意見交換し、慶尚南道農業技術院や昌寧郡親環境農業団地を視察しました。
循環型農業技術交流を通じて、両地域間に共通した取組状況等の情報交換が行われました。
日本は堆肥や麦わら等を活用した土づくりによる化学肥料の低減技術等について、また、大韓民国は緑肥作物のすき込みや米ぬか等を活用した土づくりについて発表しました。
現地は佐賀県農業試験研究センターと水稲・大豆特別栽培ほ場(佐賀市)及び、福岡県農業総合試験場を視察しました。
日韓相互の技術交流により両国での環境保全型農業(特に、土壌肥料部門)の取組における現状と問題点が把握できました。
日本は水稲・野菜の減農薬体系や天敵利用体系、資材の活用による病害虫防除技術について、また、大韓民国は野菜の天敵防除体系・減農薬体系モデルの紹介、米ぬかや、卵黄・食用油を活用した病害虫防除技術について発表しました。
現地は慶南親環境米流通事業団(米低温貯蔵施設室)と米穀総合処理場(サイロ方式の米乾燥調製貯蔵施設や施設園芸試験場及びランの大規模経営企業を視察しました。
病害虫防除技術や有機農業技術の情報交換など、具体的で有効な事業の実施ができました。
日本は、かき(果樹)、アスパラガス、ばれいしょの病害虫に関するIPM技術の取 組について、大韓民国はいちご、水稲、とうがらし、かんきつの病害虫に関するIPM技術の取組について発表しました。
現地は菊川町レインボー稲作研究会(下関市)(韓国側のみ視察)、山口あぶトマト部会高俣支部トマト選果場(萩市)と船方農場グループ(阿東町)及び山口県農林総合技術センター(山口市)を視察しました。
環境に負荷をかけない農業をテーマに相互発表し、現地視察することにより、安心・安全な農産物を望む消費者の期待に応えることの必要性を確認しました。
また、耕種的・生物的・物理的・化学的防除を組合せた総合的病害虫管理手法は、親環境農業を推進する上で基本となることが確認されました。
県市道 | 発表題目 |
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福岡県 | 県民と育む「農の恵み」モデル事業 |
佐賀県 | 環境保全型農業の推進について |
長崎県 | 人と環境に優しい農業対策事業 |
山口県 | 水稲の堆肥連用栽培における施肥窒素の削減 |
釜山広域市 | 持続可能な農業のための親環境的農業技術開発の普及 |
全羅南道 | 親環境農業推進目標及び2005推進成果、研究計画 |
慶尚南道 | 安全な農産物を生産するための親環境農業の推進 |
済州特別自治道 | 親環境・清浄1次産業の育成のために養分の総合管理及び環境親和的病害虫防除の技術の開発 |
県市道 | 発表題目 |
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福岡県 | 牛ふん堆肥を連用したリーフレタス畑における施肥窒素削減 |
佐賀県 | 有機物資源(稲わら・麦わら)の連用効果 |
長崎県 | レタスの硝酸塩低減に向けた堆肥代替による減肥栽培技術 |
山口県 | 水稲の木質堆肥連用栽培における施肥窒素の削減 |
釜山広域市 | 有機物等を利用した土壌づくり及び化学肥料の低減技術 |
全羅南道 | 親環境型土壌管理のための緑肥作物と米ぬかの処理効果 |
慶尚南道 | 親環境安全農産物生産技術開発拡大普及 |
済州特別自治道 | 有機栽培のために適正な養分の管理 |
県市道 | 発表題目 |
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福岡県 | 促成栽培いちごでのミヤコカブリダニを核としたハダニ類の防除体系 |
佐賀県 | 環境に優しい種子消毒法を基軸とした水稲の減農薬栽培技術 |
長崎県 | アスパラガス半促成長期どり栽培におけるアザミウマ類の総合防除体系 |
山口県 | 被覆資材を利用したキャベツの無農薬・減農薬栽培技術 |
釜山広域市 | 天敵を利用した病害虫防除技術 |
全羅南道 | 環境に優しい病害虫防除の技術 |
慶尚南道 | 卵黄油を利用した病害虫防除 |
済州特別自治道 | 主要農作物親環境的病害虫防除研究 |
県市道 | 発表項目 |
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福岡県 | 土着天敵を活用したかき(果樹)害虫のIPM体系 |
佐賀県 | 半促成長期どりアスパラガス栽培におけるIPM技術 |
長崎県 | 大規模露地圃場における黄色灯の効率的設置法によるばれいしょヤガ類の被害低減 |
山口県 | トマトのIPM技術の取組み状況 |
釜山広域市 | 総合的病害虫管理(IPM)示範事業 |
全羅南道 | いちごの病害虫の総合管理技術の開発 |
慶尚南道 | IPM防除技術に関する試験研究の成果 |
済州特別自治道 | かんきつの病害虫の総合管理(IPM)技術研究 |