2008年11月、慶尚南道で開催されたラムサール条約締約国会議に合わせ、日韓海峡沿岸の8県市道の子どもたちに、この会議への参加を含む自然の保護と活用に関する体験プログラムが実施されました。
この事業の成果を踏まえ、未来を担う8県市道の子どもたちが、自然環境の保全と賢明な利用について楽しく学び、交流するための体験の機会を提供するために、「自然環境学習事業」が実施されることが2008年の日韓海峡沿岸県市道交流知事会議において決定されました。
2008年度事業 | 11月1日~11月3日 韓国慶尚南道ラムサール体験事業 |
---|---|
2009年度事業 | 鳥インフルエンザにより延期 |
2010年度事業 | 7月24日~26日 山口県秋吉台自然環境学習事業 |
2011年度事業 | 9月17日~19日に全羅南道新案郡曾島面子供自然環境学習体験事業 |
そして、2012年度事業は7月31日~8月2日に福岡県北九州市において、「地球の過去・現在・未来」をテーマに次のとおり実施されました。
行事 | 内容 |
---|---|
いのちのたび博物館 | 館内展示の見学の後、化石発掘体験をしながら、自然といのちの歩みについて学習。 |
交流会 | 班ごとに名刺交換をして自己紹介をした後、太陽光で動くカエルのおもちゃ作りをしながら交流。 |
北九州市内で、8県市道の参加者同士が初めて顔合わせの挨拶をした後、いのちのたび博物館に向かいました。まずは、地球誕生から現在に至るまでの自然と、地球環境を守る上で大切なたくさんのいのちについて学ぶために、館内展示を見学。特に、恐竜やマンモスなどの化石や復元骨格、様々な動物の剥製は見るものを圧倒する迫力があり、また、音声ガイドを聞きながら見る恐竜時代の福岡県が再現されたエンバイラマ館はとても印象的でした。
次は館内の実習室に移動して班ごとにテーブルに着き、化石発掘体験をしました。博物館の先生から化石の形成過程や発掘のやり方についての説明を聞いた後、必要な安全装備を着用。各自に配られた石をハンマーで叩いて、化石発掘をしました。慣れない手付きで、一生懸命に石を叩くと、植物の化石を中心に様々な化石が出てきました。その化石と用意された鑑定用の資料を見比べながら、化石の種類を自分の力で確認しました。そして、標本にした化石は、記念品として持ち帰ることになりました。
夕食後は、班ごとに集まり、自分の顔写真と日本語と韓国語の両方で書かれた名前が入った名刺をお互いに交換しながら、改めて自己紹介をしました。親しくなった後は、カエルの形をしたおもちゃを作りました。そして、完成後は、カエルの背についているソーラーパネルで、太陽の光をエネルギーに変えることによりカエルが動くことの説明と、太陽光をはじめとする自然の力を利用した発電方法を取り入れることが自然環境の破壊を少しでも止める手助けをしていることになることを聞きました。地球の自然環境を良い状態に保つために何ができるのかを、もう一度考えさせられる機会となりました。
行事 | 内容 |
---|---|
平尾台 |
自然観察センターで、館長の説明を聞いて、平尾台の概要、歴史、特徴について学習。 |
環境ミュージアム | 説明を聞きながら展示室を見学。段ボールとチラシでコマを作り、自分好みの装飾を加え、同じ班の友達とコミュニケーションを図りながら楽しく製作。 |
環境保全活動発表会 | 子供たちによる自然環境保全活動の発表。自然環境保全の重要性の理解と学習を通じた交流。 |
2日目は現在の福岡県の自然を学ぶために、天然記念物・国定公園・県立自然公園に指定されている平尾台のカルスト台地に向かいました。まず、平尾台の中にある自然観察センターを訪問し、同センターの館長による平尾台の仕組みや生態系、その価値についての詳しい説明を聞いた後、質疑応答の時間も設けました。そして、平尾台の形成過程を分かりやすく説明している映像を見ながら、カルスト地形の仕組みについて学びました。
説明を聞いた後は、国指定天然記念物に指定されている千仏鍾乳洞の見学が始まりました。洞窟に向かう途中では、車窓から石灰岩の岩肌が見られる平尾台の珍しい地形を見ることも出来ました。そして、ガイドの説明を聞きながら班ごとに洞窟を見学しました。外は真夏で気温が高いのに、洞窟の中は涼しく、どんどん奥に入ると、流れる水は驚くほど冷たかったです。照明設備がある900m地点まで進み、不思議な形をした石灰岩を見たり触ったりして、五感で体験しました。参加者にとっては、暑さが和らぐ場所で、太鼓の昔より長い時間をかけて創りだされた自然の美しさを目の当たりにする貴重な体験となりました。
昼食の後は、環境ミュージアムに向かいました。最初に見学した展示室では、北九州市が過去の公害をどのように克服し、きれいな自然環境を取り戻したのかの官民一体となった取り組みや、地球が直面している環境問題について写真や展示物を見ながら説明を聞きました。説明の後は、自由に展示室を見て回りました。北九州市の過去の教訓を踏まえ、今地球上で進んでいる自然環境の破壊を食い止め、すべての生き物のための環境を守っていく必要があることを再認識しました。
次に、多目的ホールにてミュージアムスタッフの方の説明を聞きながら、普段は捨てられる段ボールやチラシを使い、みんなと交流しながら楽しくコマを作りました。資源の再活用について改めて考える機会となりました。
最後のプログラムでは、参加した地域ごとによる自然環境保全活動の発表が行われました。発表では、プレゼンテーションソフトを使い、色々と工夫された発表の仕方で、自分たちが取り組んでいる活動について互いに知ってもらうことができました。日本語と韓国語が併記されたプレゼンテーション資料や、通訳の助けを借りることによって、日本と韓国、両国の参加者が交流できました。